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水路紀行

隠された水路の魅力を発掘していきます。

河川流域のネットワーク総説

水田や水路、ため池を含む河川流域の水域ネットワークについて、現象と課題を整理した大変優れた総説が出ました。文章構成もよくできているし、図表やイラストも効果的に使われていて、見習いたいと思います。

 

河川生態系における水域ネットワーク再生手法の整理:日本における現状と課題

 

論文冒頭で、河川生態系の3方向の連結性と書いてあって、僕はここで「3方向?縦断方向の連結性(河川の流れ)はわかるけど、それ以外に2つもあるの?」と驚きました。どうも、自分の勉強不足を暴露している感じがしますが・・笑

 

1つは、想像した通り、「縦断的な連続性」でした。もう一つは「横断的な連続性」で、河川と氾濫原間のつながりのことを指しているようです。僕が分からなかった3つ目は、河床間隙を介した河川水と帯水層間のつながりのことだそうです。言われてみれば納得できます。

 

2番目の連結性の一つとして、河道外の氾濫原(水路やため池)についても説明されています。特に、著者達が北海道等で取り組んできた研究成果を中心に話が進められています。全体的に異論はないのですが、抜けている(と思われる)視点を強いて言えば、水路は河川やため池等をつなぐネットワークとして機能するだけではなく、地域によっては水路自体が良質の生息場所となっていることだと思います。著者の研究成果(Ishiyama et al. 2016)から、生物の生息場所として水路や河川より、ため池が特に重要だと論じられています。しかし、地域によっては、ため池よりも河川や水路の方が種多様性が高い場合もあるような気がします(あくまで僕の経験ですが・・)。ですが、ネットワークという本総説の趣旨を考えれば、特筆するべき問題ではないと思います。

 

学生や研究者、行政、コンサル等、様々な立場の人の役に立つ、優れた総説だと思います。