水路紀行

隠された水路の魅力を発掘していきます。

今日の水路(2017-4-28) 濁り

水田の水が水路に流入するようになると、水が濁り、底面が見えなくなります。底質の調査がやりずらくなります。

https://www.instagram.com/p/BTaqYETDxB7/
今日の水路

今日の水路(2017-4-27) マス

排水が流入する水路には、所々にマスがあります。泥をここに溜めるために作られているらしいです。マスは少し深くなっているので、生物の生息場としていい働きをします。水が止められても、ここだけ水が残って生物の避難場所になることも多々あります。
f:id:mitsunorinakano:20170427104427j:plain
f:id:mitsunorinakano:20170427104509j:plain

河川流域のネットワーク総説

水田や水路、ため池を含む河川流域の水域ネットワークについて、現象と課題を整理した大変優れた総説が出ました。文章構成もよくできているし、図表やイラストも効果的に使われていて、見習いたいと思います。

 

河川生態系における水域ネットワーク再生手法の整理:日本における現状と課題

 

論文冒頭で、河川生態系の3方向の連結性と書いてあって、僕はここで「3方向?縦断方向の連結性(河川の流れ)はわかるけど、それ以外に2つもあるの?」と驚きました。どうも、自分の勉強不足を暴露している感じがしますが・・笑

 

1つは、想像した通り、「縦断的な連続性」でした。もう一つは「横断的な連続性」で、河川と氾濫原間のつながりのことを指しているようです。僕が分からなかった3つ目は、河床間隙を介した河川水と帯水層間のつながりのことだそうです。言われてみれば納得できます。

 

2番目の連結性の一つとして、河道外の氾濫原(水路やため池)についても説明されています。特に、著者達が北海道等で取り組んできた研究成果を中心に話が進められています。全体的に異論はないのですが、抜けている(と思われる)視点を強いて言えば、水路は河川やため池等をつなぐネットワークとして機能するだけではなく、地域によっては水路自体が良質の生息場所となっていることだと思います。著者の研究成果(Ishiyama et al. 2016)から、生物の生息場所として水路や河川より、ため池が特に重要だと論じられています。しかし、地域によっては、ため池よりも河川や水路の方が種多様性が高い場合もあるような気がします(あくまで僕の経験ですが・・)。ですが、ネットワークという本総説の趣旨を考えれば、特筆するべき問題ではないと思います。

 

学生や研究者、行政、コンサル等、様々な立場の人の役に立つ、優れた総説だと思います。

今日の水路(2017-4-23) 用水路

堪水されて間がない水田と、給水用の用水路。用水路は一般的に、給水の必要がない非灌漑期には水が抜かれています。写真のように小規模で単調なコンクリート水路で、排水路より生物が少ないことが多いです。
f:id:mitsunorinakano:20170425162447j:plain

小規模水域の重要性

Hydrobiologiaで、小規模水域の特集が組まれています。小規模水域として、湧水、河川の源流部、ため池、水路等が注目されています。

 

Hydrobiologia, Volume 793, Issue 1 - Springer

 

水路を含む小規模水域がこれまで注目されてこなかった経緯についても触れられています。

 

>However, small water bodies in Europe and other regions have still received relatively little research attention. This may in part relate to the fact that they do not strictly fall within the monitoring requirements of the Water Framework Directive and other similar legislation.(Preface: The importance of small water bodies | SpringerLink

 

特集全体にわたって、水路についてはあまり突っ込んだ議論はなさそうです。でも、水路も小規模水域の一つとして認識されているので、今後、水路生物研究が国際的にますます注目されていく兆しを感じます。

大晦日の魚採り

時間ができたので今日も水路に魚採りに行きました。今日の狙いはホトケドジョウです。見た目がとても可愛い魚で、初めて見たときはうっとりしました(笑)

 

ホトケがいそうな谷津に向かいました。谷津とは、低地にある谷状地形のことです。平地と扇状地が接する辺りにあります。

f:id:mitsunorinakano:20161231194018j:plain

 

全体的に傾斜が急です。上にため池があり、そこから水を取って水路に流し、途中の水田に給水しています。傾斜がきつい証拠に、上下の水田間に落差があります。

f:id:mitsunorinakano:20161231194308j:plain

 

水路も傾斜がきつく、段差が見られます。段差をつけることによって水路の勾配を緩やかにし、流速が速くなりすぎるのを防ぎます。下の写真の落差は特にひどいと思います。これでは下流から全く魚が遡上できません。

f:id:mitsunorinakano:20161231194437j:plain

 

このように地形に着目すると、水路のことが理解しやすくなります。

 

この谷津周辺の水路で魚を採ってみました。

 

カワヨシノボリ。河川の上流~中流域の普通種です。でも、この辺りではなぜか分布が狭いので貴重です。この写真では見づらいですが、2つの胸鰭がくっついて1枚の吸盤になっています。この吸盤を使ってヨシ(植物)を上ることがあるので、ヨシノボリという名前が付いたのだとか。ハゼの仲間の多くは、同様の吸盤を持っています。

f:id:mitsunorinakano:20161231195102j:plain

 

カワムツです。これも河川上流~中流域の普通種です。

f:id:mitsunorinakano:20161231195840j:plain

 

外来種ブルーギルです。ため池等の、流れが緩やかな水域に好んで生息します。谷津のため池に潜んでいることが多いので、そこから水路に流されてきたのだと推察されます。

f:id:mitsunorinakano:20161231195644j:plain

 

谷津の端にはこんな水路もありました。スジエビとヤゴ(アカネの仲間っぽいやつ)、アメリカザリガニはいましたが魚は採れませんでした。ここならホトケドジョウも・・と思って頑張りましたが、見つかりませんでした。両生類目当てでまた来たいです。

f:id:mitsunorinakano:20161231200102j:plain

 

その谷津からさらに山手へ向かったのですが、細い道に入ったところでこんな看板がありました。おっかない。谷津ではよく、ヘビとクマの恐怖にさらされます。

f:id:mitsunorinakano:20161231200342j:plain

 

そこからしばらく山沿いに行くと別の水路がありました。そこではドジョウが採れました。底につもった落ち葉の中にたくさんいました。

f:id:mitsunorinakano:20161231200656j:plain

 

しかし、ホトケドジョウは採れず・・

残念でしたがここで時間がきました。

 

今年最後にホトケドジョウに会いたかったのですが、普通種ばかりでした。あと、外来種も・・。普通種が水路改修や外来種に負けず、しぶとく生き残っているのが嬉しいです。

年末の水路めぐり

午前中は雪が降っていましたが、午後から天気が回復したので、普段行かない水路を見に行きました。撮影用のケースを持っていかなかったのでいい写真はありませんが、紹介します。

 

石川県南部の、海に近い地域です。この時期らしく、大河川には多数の水鳥が浮かんでました。僕は詳しくないけど、色々な種が混じってるのかな!?

f:id:mitsunorinakano:20161230181443j:plain

 

まずは、今年の夏に見つけた良さそうな小水路に行きました。幅は1mもありません。夏に来たときは、上からのぞいたら小魚が群れていたのですが、今日はパッと見、何も見えませんでした。

f:id:mitsunorinakano:20161230181558j:plain

 

殻が目に付いたので拾ってみると、ドブガイ類でした。ここの地域のドブガイ類は、タガイのようなやつもヌマガイのようなやつもいて、同定の断言は避けたいと思います。

f:id:mitsunorinakano:20161230181836j:plain

 

殻を拾うために底質をさらうと、中にキタノメダカがいました。ドジョウみたいに潜ってるのですね。

f:id:mitsunorinakano:20161230182238j:plain

 

枯れた水草の塊りをすくってみると、タモロコも採れました。一すくいでこの数はなかなかです。かたまって泳いでいる冬らしい出来事。ウシガエルの親子も採れました(写真中央のやや左下にオタマジャクシの頭だけ見えています)。

f:id:mitsunorinakano:20161230182359j:plain

 

次に、すぐ近くにあった大きめの水路に移動しました。さっきの水路と道路をはさんだ向こうです。水深も30cm以上あって底には沈水植物が繁茂していて、良さそうな水路です。

f:id:mitsunorinakano:20161230182744j:plain

 

こんな素敵な桝(ます)もあります。まずは桝から網を入れてみます。

 

f:id:mitsunorinakano:20161230182947j:plain

 

やっぱりキタノメダカばかり採れます。また「来たの?メダカ」って感じです(?)

 

ここではやたらギンヤンマのヤゴが採れました。

f:id:mitsunorinakano:20161230183209j:plain

 

1個体だけ、マルタニシも採れました。この地域にはよくいます。

f:id:mitsunorinakano:20161230183347j:plain

 

しばらく採集を続けると、魚が続々と採れてきました。

 

外来種のタイリクバラタナゴ。このあたりのドブガイ類を占拠してるのでしょうか!?この地域でタナゴ類が採れたら、たいていはこの種です。もしや、在来種がタイリクバラタナゴに駆逐されたのではないかと怖くなります。写真悪くてごめんなさい。

f:id:mitsunorinakano:20161230183600j:plain

 

ドジョウ。

f:id:mitsunorinakano:20161230183745j:plain

 

フナ類。僕には同定できません。ただ、この地域にはどうも、ギンブナもナガブナもいそうです。今日のはギンぽい。

f:id:mitsunorinakano:20161230183932j:plain

 

目立った生物は以上です。魚は5種が採集され、いずれもこの地域の普通種です。この地域はどこで採集しても、この5種にナマズが加わる程度なので、魚取りの面白みにやや欠けます。普通種が普通に残っているのは、とても大切なことなのですが・・。近くの大河川にミナミアカヒレタビラやカマキリ等の魚がいるので、そういうのが生息している水路はないか探しています。

 

最後に、今日採捕された魚はすべて、生かしたまま元の水路に逃がしました。